ニュージーランド・ブラックカラント料理の歴史

ビートン夫人のお料理の本

1820年代にヨーロッパからニュージーランドに来た初期の開拓移民によって、ブラックカラントの苗木が持ち込まれ、移植されました。ペクチンを多く含んでいるブラックカラント果実は、ジャムやゼリーの材料に最適なのです。葉や茎はお茶やハーブティとして使用されてきました。(ブラックカラントは、その芳香が果実だけでなく、葉や茎にもある数少ない植物の一種です。)「ビートン夫人のお料理の本」は、初期の入植者達にキッチンの必読書として親しまれ、ニュージーランドでは、とても長い間、重宝されてきました。

「ビートン夫人のお料理の本」で、最も人気のあった代表的な3つのレシピの内のひとつが、ブラックカラントのお茶でした。ビートン夫人は、風邪の治療や脱水症状、のどの痛みをやわらげるのに効果があるお茶として、ブラックカラントのお茶を勧めています。当時はブラックカラントにビタミンCが多く含まれているなどという事はもちろん、ビタミンCに関する知識さえ、誰も持っていませんでした。しかし、初期の入植者達は、ブラックカラントが健康維持に役立つ、多目的な治療薬となりうる貴重な植物であることを知っていたのです。

1853年

ネルソンのウィリアム・ハーレ氏が、ブラックカラントの苗木を育て、一般家庭向けに供給し始めました。

1938年:若奥様のための料理の本

古くから、オーストラリアの料理の本は、ニュージーランドの家庭で愛読されてきました。特に人気のあったこの本は、花嫁になりたての若い女性達の手引書として親しまれました。とても役立つレシピのひとつである「救急薬ブラックカラント・シロップ」は、ジャムから作る飲料用シロップの作り方を紹介しています。また、ブラックカラント・ビネガー水のレシピもあります。

当時は、すべてのレシピでブラックカラントは二つの単語、ブラック・カラントと称されていました。さらに、多くの本ではカラントという名称が他の果実-乾燥した赤ブドウの名称として使用されているにも関わらず、ブラックカラントを簡単にカラントとして’記載しています。これは、当時ブラックカラントが一般的に広く親しまれていた事を示しています。

1946年: 「ニュージーランドの”真実”」の料理の本

ニュージーランドの家庭用料理の本として有名になった「ニュージーランドの真実」。第二次世界大戦終了直後に発行されたこの本は、当時とても有名になった二種類のデザート:「ブラックカラント・プディング」と「ブラックカラント・ローリィポーリィ」を紹介しています。

この当時は新鮮なブラックカラント果実を手に入れる事が難しかったので、この時代のレシピの殆どはブラックカラント・ジャムを材料としています。


1948年: パーフィット・シールの家庭用保存食品の本

パーフィット・シールは、ニュージーランドの代表的な保存用食品の作成方法の名称として親しまれ、何十年にも渡って、家庭で作られたたくさんの野菜や果物の保存食用ガラス製容器のふたを密閉するのに使用されてきました。調理された食物はシロップ漬け、あるいは塩漬けにされて、ガラス瓶に詰められ、パーフィット会社の特製デザインのふたで密閉されました。

この特製のふたによって、しっかりと密閉されたガラス瓶は、さらに沸騰したお湯の入った大きなお鍋で加熱されます。この方法によって作られた保存食品は、何年も保存が可能です。1980年代になるまで、たくさんの家庭で、この方法が使用されました。現在でもこの方法で保存食を作っている家庭もありますが、多くの家庭は果物や野菜を冷凍するようになりました。この本では、以下の写真にあるように、ブラックカラント・ジュースなどの果物のジュースの作り方とパーフィット・システムを使用した保存方法を紹介しています。

1950年代: ディジーおばさんのブラックカラント料理

ディジーおばさんは、1950年代のラジオ番組で活躍し、子羊などの肉料理にかける美味しいブラックカラント・ソースを紹介して、一般家庭に広めました。

1965年: アトラス・クッキング・ブック

初期の炭火オーブン、そしてその後の電気オーブンは、ニュージーランドの家庭料理のメニューを一躍、豊富なものにし、さらに世界的なレベルで活躍した情熱にあふれたベーカーリー職人達を生み出しました。電気オーブンの販売会社達は、競ってレシピの本を毎年発行しました。写真は1965年に発行された11版目のアトラス会社の料理の本です。この本では、伝統的なブラックカラント・ジャムの作り方が紹介されています。この頃から、「ブラック・カラント」と二つの単語で呼ばれていたのが、「ブラックカラント」というひとつの単語の名称に変わってきていることも、注目すべき事です。

 

1970年代 ハーベスト・メイドの乾燥食品の作成方法とレシピの本

1970年代には、ニュージーランド人達はドライ・フルーツに注目し始めました。この本には、レッドカラントは乾燥に適していないけれど、ブラックカラントは理想的と書かれています。乾燥したブラックカラントは、食パンやロールパン、さらにビスケットの材料として使用したり、りんごなどと一緒にピューレにしてから乾燥して、「フルーツ・レザー」と呼ばれるスナック菓子にする事などが紹介されています。巻き寿司に使用する海苔のように、フルーツを使用した色彩豊かな「レザー・シート」の形に調理するのは、新鮮なアイデアでした。

1972年: 赤十字の料理の本

赤十字の主な資源となるのは、地域で催し事などがある場合に行なわれる各家庭の手作りのケーキなどのお菓子の販売ですが、そのうち好評であったお菓子のレシピを記載した料理の本が、各地域で発表されるようになりました。1972年に発行されたこの本には、マルボロー地方のヒル夫人によるブラックカラント・ジャムの2つのレシピが紹介されています。一つは伝統的なブラックカラント・ジャムの作り方ですが、もう一つの方は、とても奇抜なレシピでブラックカラントを使わずに作るブラックカラント・ジャムの作り方を紹介しています。ブラックカラント果実が不作だったり、お肉料理用のソース等で果実を使い切ってしまったりした時に、このレシピは重宝されました。トマトとパイナップル、そしてレモンから、ブラックカラント・ジャムそっくりのジャムが作れると言うのはとても興味深いですね。

1980年代:世界へ進出!

1980年代には、ジェラルディン地方を基点とするバーカーズ社が、世界で最初の甘味を加えないブラックカラント濃縮果汁を製造しました。さらに、ニューマン社がヨーロッパのベーカリーに、ニュージーランド産冷凍ブラックカラント果実を輸出し始めました。マーガレット・フルトンの料理の本には、ニューヨーク風ブラックカラント・チーズケーキが紹介されています。そして、ネルソン市のスージョン・ベリーフルーツ社が、冷凍ブラックカラントをニュージーランド国内のレストランのシェフ達に販売し始めました。

1988年: 高級食材として注目され始めたNZ産ブラックカラント

ニュージーランドの歴史ある食生活スタイルの雑誌「ザ・ニュージーランド・キッチン」に、ニュージーランドの最高級ホテルのブラックカラントを使った特製デザート・メニューが紹介されています。

2005年:NZ産ブラックカラントが、高級料理の晴れ舞台に続々と登場

ブラックカラントは、近年、さらに高級料理に使われてきています。これは、有名な「オフ・ザ・メニュー」と言う雑誌の表紙に使用された写真で、「マスカルポーネ・クリーム添えベリー果実の砂糖煮とみかんのリキュール」と言うデザートです。ブラックカラント果実を丸ごと使用しています。

 

2008年:世界最高の一流シェフに愛されるNZ産ブラックカラント

有名な雑誌「コンテスト」で、世界一と賞賛されたクイーンズタウンにある豪華なブティック・ホテル「ブランケット」のシェフ、ジェイソン・デリによる「ブラックカラント&ピノ・ノワールのソース掛け鴨料理」。地元特産のとても味わい深いピノ・ノワール・ワインととてもよく合います。

シェフや料理人達に注目を浴びているNZ産ブラックカラント

ピノ・ノワール・ワインや牛肉、羊肉等の赤身の肉と、とても相性が良いNZ産ブラックカラント。そしてさらに、ニュージーランドのシェフや料理人達は、ブラックカラントのハーブとしての特性や、グースベリーに似た風味が、ニュージーランドの由緒あるワイン、ソーヴィニョン・ブランとも相性が良いと言う事に気づき、斬新な新しいメニューを生み出しています。

ニュージーランド特有の地理と気候条件は、健康維持に役立つ抗酸化成分を多く含む、栄養豊かな、香り高い美味しいブラックカラントを栽培するのにとても適しています。ニュージーランド特産品の一つである、世界最高の品質を誇るニュージーランド産ブラックカラント。様々な料理に使用してお楽しみ下さい。